証明書更新、毎回同じことをやっている
うちの現場ではサーバ証明書の更新を年1回やっているが、これが地味に面倒な作業だ。だいたいこんな流れになっている。
- 認証局(DigiCertなど)のWeb管理画面にログイン
- 対象ドメイン・組織情報を毎回手入力
- CSR(証明書署名要求)を生成してコピペ
- ドメイン確認メールやDNSレコードの設定
- 発行された証明書をダウンロードしてサーバに配置
- Excelの証明書台帳に有効期限を転記
年1回だからまあ我慢できていたが、この「年1回」という前提がもうすぐ崩れると知って、さすがに今のうちに手を打っておくことにした。
TLS証明書の有効期間が段階的に47日まで短縮される
CA/Browser Forum(認証局とブラウザベンダーで構成される標準化団体)が2025年4月に承認したBallot SC-081v3という決議で、SSL/TLS証明書の最大有効期間が段階的に短くなることが決まっている。スケジュールは次のとおり。
| 適用開始日 | 最大有効期間 |
|---|---|
| 2026年3月15日 | 200日 |
| 2027年3月15日 | 100日 |
| 2029年3月15日 | 47日 |
現行の398日と比べると、2029年には更新作業が年8回近くまで増える計算になる。ドメイン確認(DCV)の再利用期間も398日から10日まで短縮される予定なので、「確認さえ済ませておけば更新は流れ作業」という運用も通用しなくなりそうだ(出典: DigiCert公式ブログ、CA/Browser Forum関連まとめ)。
今のまま手動運用を続けると、こういうことが起きそうだと想像している。
- 担当者が変わった途端に更新漏れが起き、サイトが証明書切れで停止する
- 手入力のたびに入力ミスが発生し、再申請でさらに時間を溶かす
- 台帳更新を忘れて、どのサーバがいつ切れるか誰も把握していない状態になる
監視・可視化についてはうちはGrafana+Infinityプラグインで対応済みなので、今回は触れない。ここでは申請作業そのものの手間を、Claude Codeで減らせないか試してみた。
面倒なのはCSR生成より「Web画面への手入力」
証明書更新作業で実際にやっていて面倒だと感じるのは、CSRの生成そのものより、認証局の管理画面に組織名・部門・ドメイン・SANといった項目を毎回手で入力する工程だ。CSR自体はopensslコマンド一発で作れるが、その先のWebフォームへの転記作業はコマンド化できず、結局ブラウザを見ながら人が入力することになる。
そこでClaude Codeのブラウザ操作機能を使って、この転記作業を代行させてみることにした。Claude Codeは公式のChrome拡張機能「Claude in Chrome」と連携でき、これを入れておけばCLIから「このフォームに入力して」と指示するだけでブラウザを直接操作してくれる。試す前に、次の点は押さえておいた方がいい。
- Claude in Chromeは2026年時点でPro/Max/Team/Enterpriseなど有料プラン向けのベータ機能で、無料プランでは使えない
- 対応ブラウザはGoogle Chromeのみ(Edge・Brave・Arcなどは非対応)
- 拡張機能はブラウザの認証状態をそのまま使う仕組みなので、認証局サイトに事前にログインした状態を保っておく必要がある
- ベータ版のため誤クリックなど精度面の限界があり、通常のチャットより使用量も消費しやすい
準備ができたら、証明書ごとの入力項目をあらかじめCSVで管理しておき、それを渡してWeb画面への入力を指示するだけだ。
# certs.csv: CommonName,SAN,Organization,Department,Country www.example.com,www.example.com;example.com,Example Corp,IT部,JP
Claude Codeへの指示は、たとえばこんな感じにしている。
certs.csv の1行目の内容を、今開いているDigiCertの証明書申請フォームに入力して。 CSRの貼り付け欄には csr/www.example.com.csr の中身をそのまま貼って。 入力し終わったら、送信ボタンは押さずに内容を確認させて。
最後の一文は必ず入れるようにしている。証明書の申請は間違えると影響が大きいので、入力までを代行させて、送信は必ず自分の目で確認してから押す、という運用にしている。「何を入力するか考えて、画面を探して、貼り付ける」という一番だるい部分だけをClaude Codeに任せるイメージだ。
台帳の更新も一緒にやってもらう
証明書を更新したら、Excelの台帳に更新日・新しい有効期限・担当者を記録する運用がうちにも残っている。申請時に使ったcerts.csvに更新結果を追記して、台帳フォーマットにそのまま流し込むところまでClaude Codeにやらせてみたところ、台帳の記入漏れという地味に面倒な問題も減らせそうな感触だった。
まとめ
47日ルールが完全適用される2029年はまだ先だが、2026年3月からもう200日フェーズに入るので、更新頻度は着実に上がっていく。監視・可視化は現場ごとに事情が違うと思うが、申請作業の定型化だけでも今のうちにやっておくと、100日・47日と短くなっていく先でも慌てずに済みそうだ。
証明書更新の手入力、正直面倒だなと感じている人は多いと思うので、同じように困っている方の参考になれば幸いだ。

参考: DigiCert - TLS Certificate Lifetimes Will Officially Reduce to 47 Days, Sectigo - CA/B Forum Cuts SSL/TLS Certificate Lifespan to 47 Days


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