ノートPCにVMware ESXiをインストールしよう
余っているノートPCがあったので、検証環境構築がてらVMware ESXi7.0をインストールすることにした。
さくっとできるかと思ったが想像以上に手間取ったので記録として導入手順を残しておく。
使った機器とかソフトとか
導入環境やソフトウェアは以下の通り。
ノートPC(ESXiインストール用)
dynabook T642/T8HBD
▼メーカサイト
https://dynabook.com/pc/catalog/dynabook/130212t642/spec.htm
CPU:インテル® Core™ i7-3537U プロセッサー
MEM:8GB(PC3-12800(DDR3-1600)対応 SDRAM、デュアルチャネル対応)
DISK:Amazonで買ったSSD(忘れた) 250GB
→確か2013年くらいに買った。長らくメインPCとして使っていたけど2020年に
パソコン買い替えて以来出番なかったので今回ホストマシンとして採用。
USB(ESXブート用)
不明。なんか16GBぐらいのやつ。
ノートPCにブート用のISOを入れるために必要。
↓みたいなBUFFALOのUSBとかでいいと思います。(ただし8GB以上必須)
USB有線LAN
NIC用。BUFFALO 有線LANアダプター LUA4-U3-AGTE-NBKを購入(1300円くらい)
私のノートPCには最初から有線LANはあるものの、VMware ESXiには対応していなかった。(Atheros AR8152 PCI-E Fast Ethernet Controller (NDIS 6.30)ってやつ)
作業用PC
VMware ESXiのISOをブート用USBに入れたりするのに必要。
【ソフト】NICドライバ (USB Network Native Driver for ESXi)
USB有線アダプタをESXに認識させるためのNICドライバ。
後述するけど、ESXのインストールでNICドライバは対象製品じゃないとインストールが失敗する。多くの方が躓くのがここだと思う。
【ソフト】カスタムISO作成ツールその1 (ESXi-Customizer-PS)
これまた後述するけどESXが標準で対応しているNICは意外と少ない。USB有線アダプタも標準のISOファイルでは対応していないので、NICドライバを組み込んだカスタムISO作成に必要。
なお、VMware Frontで紹介されているものはv2.6.0だが、これだとESXi6.7までしか対応していない。
最新版のESXi7.0以降を利用したい場合は、GitHUBにソースがあるのでそちらで書き換えが必要。
■ツール本体
■GitHUB(7.0以降に対応させる人向け)
【ソフト】カスタムISO作成ツールその2 (VMware PowerCLI)
VMware管理ツール。今回はカスタムISO作成に使用する。
【ソフト】ブータブルUSBメモリ作成ツール (Rufus)
作成したカスタムISOをブータブルUSBメモリとして設定するためのツール。
導入手順
注意事項
ESXiをノートPCにインストールするにあたっては、いくつか注意事項がある。
ちゃんと確認しておかないと躓くのでよく読んでおいてほしい。
ESXiのハードウェア導入要件を満たしているか?
ESXiにはハードウェアの最小構成要件がある。以下サイトから要件満たしているか確認しよう。
代表的なところでは以下。
- ESXi7.0 では、少なくとも 2 つの CPU コアを持つホストが必要です。
- ESXi7.0 には、少なくとも 4 GB の物理 RAM が必要です。一般的な本番環境で仮想マシンを実行するためには、少なくとも 8 GB の RAM を用意します。
- 1 つ以上のギガビットまたはより高速なイーサネット コントローラ。サポートされているネットワーク アダプタ モデルについては、http://www.vmware.com/resources/compatibility の 『VMware 互換性ガイド』 を参照してください。
- ESXi7.0 では、USB または SD デバイス用に 8 GB 以上、HDD、SSD、NVMe などのその他のデバイス タイプ用に 32 GB 以上の起動ディスクが必要です。起動デバイスを ESXi ホスト間で共有することはできません。
NICがESXiが対応しているか、ドライバは標準か?
ESXiのISOは公式サイトからダウンロードできるが、NICが対応しているものでないと「No Network Adapters」エラーが発生してしまう。
有志作成の非公式ドライバを準備し、カスタムISOを作成することで回避することも可能。
ただ古いノートPC向けNICドライバだと、非公式ドライバでも最新のESXiには対応していない場合がある。今回私はこのパターンだった。
まず、標準ISOが対応しているかどうかは以下サイトで確認が可能。
「検索カテゴリ」から「IO Devices」を選択。
「I/Oデバイスタイプ」から「Network」を選択し、キーワードに調べたいNICの情報を入力して「更新して結果を表示」をクリック。
試しに「Intel」と入力すると以下のように出てくる。
私もノートPCに元々あるNIC(Atheros AR8152 PCI-E Fast Ethernet Controller)を使いたかったけど、残念ながら対応していなかった。
標準ISOで対応していない場合に、有志作成の非公式ドライバの対応可否を確認する。
検索ボックスに利用したいNICドライバの情報を入れて検索する。
試しに「AR8152」で検索してみると、出てくるは出てくるのだが・・・・
詳細制限(Dependencies and Restrictions)を見てみると、ESXi6.0までが対象だった。
ESXi6.5以上はなかったので、7.0を導入したい私の要件とは合わなかった。
仕方がないので、前述の通りここはUSB有線LANアダプタを購入して対応することとした。
PowerShellは実行可能なポリシーになっているか?
ESXi-Customizer-PSの利用にはPowerShellが用いられるが、PowerShellはちょっと実行権限が細かく分類されている。
実行ポリシー | 署名あり | 署名なし ローカル | 署名なし 非ローカル | 備考 |
Restricted | × | × | × | 初期設定。すべてのスクリプトの実行を制限。 |
AllSigned | ○ | × | × | 署名のあるスクリプトのみ許可 |
RemoteSigned | ○ | ○ | × | ローカル上のスクリプトと署名のあるスクリプトのみ許可 |
Unrestricted | ○ | ○ | △ | すべてのスクリプトの実行が可能。 ただし非ローカル上のスクリプト実行時は許可が必要 |
普段使っていない限りはRestrictedとなっており実行できないので、Unrestrictedにしておく必要がある。
①PowerShellアイコンを右クリックし「管理者として実行」する。
②「Get-ExecutionPolicy」と入力し現在の権限を確認。
③権限がUnrestrictedでなかった場合は
Set-ExecutionPolicy Unrestricted
で権限を変更する。
④「Get-ExecutionPolicy」と入力し現在の権限がUnrestrictedに変わったことを確認。
USBブートはできる設定になっているか?
dynabook T642/T8HBDの場合、セキュアブートの無効化とレガシーブートのCSM(Compatibility Support Module)への変更が必要だった。
基本的に新しめのマザボはUEFIブートが標準なのでここは失念しないこと。
フォーマットされたハードディスクがノートPCにセットされているか?
ノートPCにESXiを入れよう!という人間がここを失念することはないと思うが、ESXiのインストール先を準備しておいてやる必要があり、それはフォーマットされていなければならないので注意すること。
手順① 各ソフトのインストール
■NICドライバ(USB有線LANアダプタ)
→あまり悩むところはないと思うが、対象ESXに対応したメニューをプルダウンから選んで「DOWNLOAD」をクリックする。留意点として、7.0をインストールするためにESXi-Customizer-PSをGitHUBのコードで書き換えた場合、-v70で適用されるESXはESXi7.0.1が対象となるので、対応NICはESX700ではないことに気をつけること。
ダウンロードしたファイルは、どこでもいいけど後々ESXi-Customizer-PSと同じフォルダに格納するとわかりやすくてよい。
■カスタムISO作成ツールその1 (ESXi-Customizer-PS)
→ここの留意点は最新版がGitHUB上にあることぐらい。
まず、リンクからESXi-Customizer-PSのv2.6.0をダウンロードする。
ダウンロードしたESXi-Customizer-PS-v2.6.0.ps1をwindows PowerShell ISEやサクラエディタなどのファイルで編集できる状態にする。
続いて、GitHUBのページから最新版のソースコードを上記編集ファイルへ全コピペする。
ソースコードを全て入れ替えたら、ファイルを保存して閉じる。
ちなみに最新版の版数はv2.8.1(2021年2月現在)なので、ファイル名をESXi-Customizer-PS-v2.8.1.ps1へ変えておいてもよい。
■カスタムISO作成ツールその2 (VMware PowerCLI)
→特に注意事項はない。今すぐダウンロードからダウンロードしよう。
My VMwareに登録していないとダウンロードできないので、まだの場合は登録しておこう。
※無償版ESXiは60日間試用期間が設けられているが、My VMwareの会員になって対象ESXのライセンスキーを入手すれば60日以上使い続けることができる。お金もかからないので会員登録しておこう。
■ブータブルUSBメモリ作成ツール (Rufus)
→これも特に注意事項はない。画面に従ってインストールしていこう。
手順② ESXiのカスタムISOを作成
まず「用意したNICドライバ」と「ESXi-Customizer-PS」をどこか同じフォルダに格納する。
ここではC:\customESXに格納したこととする。
- C:\customESX\ESXi701-VMKUSB-NIC-FLING-40599856-component-17078334.zip
- C:\customESX\ESXi-Customizer-PS-v2.8.1.ps1
次にVMware PowerCLIを起動してC:\customESXに移動する。
移動は cd C:\customESX で行う。
移動したら、v7.0をインストールする場合に以下のようにコマンドを入力する。
.\ESXi-Customizer-PS-v2.8.1.ps1 -v70 -pkgDir C:\customESX -nsc
(解説)
- -v70はESXのバージョンを意味している。ESX6.7.Xの場合は-v67のように指定する。
- -pkgDirは組み込み対象のNICドライバがどこにあるかを指定する。ここでは同じフォルダにあるのでC:\customESXを指定することになる。
- -nscは署名検証をしないオプションである。これを入れておかないと高確率で「Could not find a trusted signer」というエラーが起きる。というか起きた。
正常にカスタムISOの作成が完了すると「ALL done」となり、C:\customESX配下に「ESXi-7.0U1d-17551050-standard-customized.iso」のようなファイルが作成される。これがカスタムISOである。
手順③ カスタムISOをUSBからブートできるようにする
カスタムISOができたら、rufusを使ってブータブルUSBを作成する。
用意したUSBメモリを作業用PCに差し込み認識させた状態で、rufus.exeを実行する。
「選択」から作成したカスタムISOを選択する。
以下のように各設定値が変更されたのを確認して「スタート」を実行する。
※変わっていることはないと思うが、ファイルシステムがFAT32であることを確認しておく。
処理が完了したら、パソコンからUSBメモリを取り外す。
手順④ 作成したブータブルUSBでノートPC(ESXiインストール用)にESXをインストールする
ブータブルUSBが出来たら、あとはホストマシンとなるノートPCに作成したUSBメモリを挿してUSBブートを行う。
USBブートの方法は各PCに合わせて確認すること(大体F12で選べると思うけど)
うまく認識されれば「ESXi-7.0U1d-17551050-standard-customized Boot Menu」という画面になるはず。
以降は画面の指示に従ってインストールを進めていこう。
終わりに
VMware ESXi 7.0のインストール手順自体はこれで終了だが、ノートPCにVMwareをインストールした場合、多くの人が「仮想マシンのデータストアに使えるUSB-HDDを追加したいなぁ・・・」と考えると思う。
これも結構面倒な作業があったので、次回はUSB-HDD追加の手順について記録がてら記事を書く。
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